統合失調症 1

A 統合失調症
① 統合失調症とは
 世界的に代表的な精神病で、主に青年期に発病し、特有の症状群で診断される疾患である。発病しやすい素質(脆弱性)と心理社会的な因子の相互作用によって発病する。回復するが再発しやすく、多くは慢性に経過する。経過と転帰は多様で、約半数は完全に寛解または軽度の障害を残して回復する。

② 特徴
 一生のうちで、100人に1人(発病危険率1%)は、この病気を体験するといわれている。
 この病気は、通常、思春期ないし壮年期早期にはじまる。発病に男女差はないが、男性の方が早く(約5年)発病する傾向がある。
 急性期には、幻覚や妄想といった現実を逸脱した症状のため、外から見ると理解できない行動をとることがある。それが自傷他害といった問題行動を惹き起こしたりするため、社会問題となり、周囲に漠然とした不安と恐怖を与えることがある。

③ 現状
 1) 病名の変更について
  平成14年8月に開催された日本精神神経学会総会で「精神分裂病」の病名は正式に「統合失調症」に変更された。

 2) 時代的変遷
  近年、統合失調症発生率の減少または消えゆく病気の傾向が議論され、これを支持する報告も増えてきている。多くは初回入院者率の低下であり、ことに若年者・女性の減少が顕著である。