くすりと健康 高齢者と薬

高齢者と薬
高齢者は、慢性的な病気をいくつも抱えていることが多く、複数の薬を服用したり、長期間にわたって薬を服用することも少なくありません。また、加齢により体にさまざまな変化が起こっています。そのため、若いころとはちがった作用やトラブルが起こることがあります。
1. 内臓機能の低下 → 薬の分解排泄機能が弱い
2. 慢性疾患や既往症を持っていることが多い → 薬物の生体内動態に影響
3. 薬物相互作用 → 複数の薬を服用することによるのみあわせ
4. 視力や聴力の衰え → 薬を間違えたり、医師や薬剤師の説明を聞き間違えたりすることもあります。
5. 手先の衰え、のどの筋肉の衰え → 薬を上手に袋や包装シートから取りだせなかったり(例:骨粗鬆症薬のカプセル)、カプセル剤や粉薬を上手に飲み込めないなど
6. のみ忘れ、のみ間違い

薬を飲みやすくするための工夫
*飲み忘れや重複を防ぐ
カレンダータイプの薬入れ 市販
手作りの薬入れ 空き箱などを利用して
携帯用薬入れ 外出時 フィルムケースなどを利用
1回分包装(one-dose packaging)→ 医師や薬剤師にご相談ください

*触覚を利用した、薬の飲み方の確認法
盛り上がった触覚シールなどを薬袋に貼る 目の不自由な人向けの工夫。

*薬の管理に役立つ
お薬手帳 薬局でご相談ください。
*のみやすくする
補助剤 市販の「嚥下補助ゼリー」やゼリー飲料などと一緒に飲むと飲み込みやすい
オブラート 

高齢者の介護と薬
高齢者の生理機能の変化は、個人差が非常に大きいものです。高齢者の尊厳を保ちながら、安全で効果的な薬物療法が行われるよう工夫しましょう。
A. 服薬について特に注意することは
(1) 薬をのどにつまらせない
  十分な水で(水分制限のある人はその範囲内で)上半身を起こして口に含ませ、顔をまっすぐにして服用していただきます。
(2) 転倒しないように注意する
  薬の中には、中枢神経を抑制する作用が含まれている成分をもつものもあり、高齢者ではその作用が強く現れやすいので、それによって注意力が低下し転んでしまうことがあります。あらかじめ医師・歯科医師・薬剤師の指導を受け、このことを十分注意します。

B. 観察のポイント
 高齢者は一般に、自覚症状が少ないので、副作用を最小限にくい止めるために、まわりの人が次のような点に注意して観察することが必要です。
 水分摂取量、食事量、排泄、睡眠、運動量などの日常生活に大きな変化が見られるときに、副作用が生じる可能性が高くなります。
 副作用と関連の高い症状は、発疹・発赤・全身倦怠感・悪心・嘔吐・腹痛・便秘・下痢・眠気・頭痛・めまい・転倒などです。