高脂血症

高脂血症(血清脂質異常)の定義
血清脂質 異常値
コレステロール 220mg/dl以上
トリグリセリド 150mg/dl以上

高血圧と合併症
高脂血症

動脈硬化

脳血管、心臓障害

ストレス、喫煙、加齢、遺伝、高血圧


動脈硬化
粥状動脈硬化

高脂血症の原因
 遺伝的な体質、肥満、食べ過ぎ、運動不足、長期の飲酒→生活習慣病

■ 疾患の基礎

  1. リポ蛋白

1) カイロミクロン アポ蛋白とTG 食事
2) VLDL 肝臓で合成 アポ蛋白とTG、コレステロール
3) IDL VLDLがLDLに変換される中間の粒子
4) LDL 血漿中でコレステロールを運搬する。TGの含量がはるかに少ない。
悪玉コレステロール
5) HDL 肝と小腸の両方で合成される。善玉コレステロール

  1. 脂質代謝

1) 外因性脂質の代謝
食事→胆汁酸→小腸→カイロミクロン→血液中→エネルギー、脂肪組織
2) 内因性脂質の代謝
肝臓 コレステロール、TG

VLDL→エネルギー
 ↓
LDL→胆汁酸、ステロイドホルモン、細胞膜

*  食事療法のポイント
摂取エネルギーの制限
肥満者は減量 1ヶ月に2〜3kg
総脂肪 獣脂、バター、ヤシ油、パーム油などの摂取を減らす。
脂肪の少ない肉や鶏肉、魚をとる。
コレステロール 1日300mg以下(卵黄1個)
食物繊維 胆汁酸の便中排泄を促進 きのこ、豆類、海藻類、イモ類 20〜30g/日

運動療法
血清TGの減少、HDLコレステロールの増加、血清総コレステロールには影響なし。
→高TG血症に効果(食事療法と併用)
脈拍数110〜120/分
ジョギング、水泳、柔軟体操、自転車、早足歩行
1回60分を週3回以上、1回30分を毎日

薬物療法
コレステロール血症
食事療法4〜6週間→目標値に達しない場合
HMG-CoA還元酵素阻害薬
シンバスタチン(リポバス)、プラバスタチン(メバロチン)、フルバスタチン(ローコール)、セリバスタチン(バイコール)
C合成阻害→肝細胞膜上のLDL受容体の増加、血中からのLDL-Cの取り込み促進
副作用:肝障害、CPK上昇、横紋筋融解症

陰イオン交換樹脂
コレスチラミン 胆汁酸の小腸内での再吸収の抑制、コレステロールから胆汁酸への移行の促進→コレステロールの減少
副作用:便秘、腹部膨満感、食欲不振、脂溶性ビタミン吸収阻害

プロブコール(シンレスタール、ロレルコ)
 コレステロールの合成抑制、コレステロールから胆汁酸への異化促進
副作用:胃腸障害、QT延長

フィブラート系薬剤
 TGの低下作用が強い
 LPL活性を高めてリポ蛋白の異化促進
副作用:横紋筋融解症、肝障害、胆石形成、血中CPKの上昇

ニコチン酸製剤
 TG低下作用のほうが強い
 LPLの活性化、遊離脂肪酸のレベル低下、コレステロールの合成抑制、胆汁中へのコレステロールの排泄促進
副作用:顔面・皮膚の紅潮、かゆみ、発疹など
植物ステロール(ハイゼット
 腸管でのCの吸収を阻害
 

高TG血症
食事及び運動療法 1〜2ヶ月→血清TGの低下が少ない場合
デキストラン硫酸(MDS)
 LPL活性促進、HDLコレステロールの上昇
ニコチン酸製剤               ⇒TGを20〜30%低下
フィブラート系薬剤
イコサペント酸エチル(EPA)
 肝でのVLDL合成を抑制
副作用:出血傾向