気管支喘息 14 / 呼吸器疾患 4

長期管理薬(コントローラー)
1)副腎皮質ステロイド
主な作用機序
1.炎症細胞の肺・気道内への浸潤を抑制し、かつ炎症細胞自体の遊走および活性化を抑制する。
2.血管透過性の抑制と気道分泌を抑制する。
3.気道過敏性を抑制する。
4.サイトカインの産生を抑制する。
5.アドレナリンβ2受容体刺激薬の作用を促進する。
6.アラキドン酸の代謝を阻害しロイコトリエンおよびプロスタグランジンの産生を抑制する。

吸入ステロイド
 プロピオン酸ベクロメタゾン(アルデシン、ベコタイド、キュバール)
 プロピオン酸フルチカゾン(フルタイド
 ブデソニド(パルミコート)

  ・局所投与であり、全身作用は経口投与に比較して、少ない。
  ・急性の発作に対しては使用しないように指導する。
  ・喘息症状が発現しないように維持する目的で使用するので、症状がないときでも毎日規則正しく使用する。

 (副作用)
   口腔・咽頭カンジダ症、口内炎嗄声味覚障害、悪心・嘔吐など、眼への影響(白内障緑内障)、骨への影響(骨粗鬆症)、視床下部・下垂体・副腎機能の抑制などがある。
 
   ☆吸入後はかならずうがいをさせ、口腔・咽頭症状を軽減し、全身への吸収を少なくさせる。うがいが困難な患者にはうがいではなく、口腔内をすすぐように指導する。
    ※「ブクブクうがいとガラガラうがいをしてくださいね。」
     吸入前に水を1杯飲むと、より副作用防止になるようです。
    ※1日2回 歯磨きや食事の時間に合わせるとよいようです。
 
  
☆突然に中止すると急激な悪化があり、中止の際には喘息症状を観察しながら徐々に減量する。

   ☆吸入薬は、現在定量噴霧器MDIとして、多くの種類の薬剤が使用されている。気管支拡張薬として発作時に頓用されるべきβ2刺激薬と、予防薬として常用されるべき吸入ステロイド薬の混同を防ぐため、以下のような服薬指導が大切である。
    →「発作時に吸入して狭くなっている気管支を拡張させるのが、○○○○(β2刺激薬)です。具合のよいときほど吸入して悪くさせないようにする予防薬が△△△△(BDP)です。
      △△△△を一生懸命吸入して、○○○○の使用回数を少なくするのが目的です。」
     というように患者に対して具体的な商品名を話すようにしましょう。
 


呼吸器疾患 4

D 病態
●患者の多くは喫煙者であり、労作性の呼吸困難と慢性の咳嗽、喀痰が主症状である。
COPDに典型的な身体所見は重症になるまで出現しないことが多い。
●視診上、口すぼめ呼吸、ビア樽状の胸郭(barrel chest)と称される胸郭前後径の増大、時に胸郭の奇異性運動(Hoover’s sign)を認める。
●打診では肺の過膨張のため鼓音を示し、触診では胸郭の拡張運動領域が全体に減少する。聴診では、しばしば呼吸音が減弱し、呼気延長を認め、強制呼出時の喘鳴を認めることがある。