血液疾患

血球 赤血球 白血球 血小板
赤血球 肺から末梢組織への酸素の運搬(ヘモグロビン)
赤血球
血色素量:Hb量 煩雑、精度もよくなかった
ヘマトクリット:全血に占める赤血球の割合 
全血を採り、これを遠心して赤血球層の割合を測定する。比較的容易、精度もよい
→平均赤血球血色素量(MCH)、平均赤血球容積(MCV)
赤血球恒数(貧血の原因を推測するための指標)


赤血球恒数の求め方、基準値と病態
A.平均赤血球容積
(MCV;mean corpuscular volume)
    MCV=Ht(%)/RBC(106/μl)*10(fl)
B.平均赤血球ヘモグロビン量
(MCH;mean corpuscular hemoglobin)
MCH= Hb(g/dl)/RBC(106/μl)*10(pg)
C.平均赤血球ヘモグロビン濃度
(MCHC;mean corpuscular hemoglobin concentration)
MCHC= Hb(g/dl)/Ht(%)*100(%)

?.小球性、低色素性(MCV<80fl、MCH<27pg)
・ 鉄欠乏性貧血
・ 鉄芽球性貧血
・ サラセミ
?.正球性、正色素性
 (80≦MCV<100fl、27≦MCH<32pg)
・ 急性出血
・ 溶血性貧血
再生不良性貧血、骨髄抑制
?.大球性、正(高)色素性(MCV>100fl)
・ 巨赤芽球貧血
・ 肝疾患に続発する貧血
・ 骨髄異形成症候群(MDS)
MCH 男性 28〜34 女性 26〜33pg
MCV 80〜99fl

鉄欠乏性貧血
生体中の鉄が欠乏→ヘモグロビンの生成ができない
赤血球中のヘモグロビンが少なくなると(MCHが小さくなる)、赤血球は薄くなる(MCVは小さくなる)。血液の塗抹標本 周辺だけがピンクで、中央が白い赤血球(菲薄赤血球;ペッサリー)

巨赤芽球性貧血
ビタミンB12や葉酸など核酸合成に必要な造血ビタミンが減少した場合に発症。ビタミンB12は胃の内因子と呼ばれる蛋白と結合することで胃から吸収される。この内因子が抗体あるいは他の原因により働きが悪くなったり、胃を摘出した場合にはビタミンB12が吸収できなくなる。赤芽球は赤血球と違って核をもつ。赤芽球の熟成には核酸が必要だが、ビタミンB12が欠乏しているために、核の成熟が遅れる。しかし、細胞質の成熟、ヘモグロビンの合成は順調に行われるため、核の成熟により細胞分裂が行われるときには細胞質は過成熟の状態、つまり大きくなる。このように核の成熟が遅れて、核・細胞質成熟乖離がおこる赤芽球を巨赤芽球という。比較的まれ。

赤血球が大きくなるとき 頻度から考えるとまず肝疾患(造血ビタミンの欠乏 MCV:100〜110fl)
抗腫瘍剤、白血病剤などの葉酸拮抗剤の使用でも赤血球は大きくなる。
フェニトイン、フェノバールなどの抗てんかん薬や抗アルドステロン薬のトリアムテレン、外皮用薬のジアフェニルスルホン

末梢赤血球形態と病態
赤血球 病態
菲薄赤血球 鉄欠乏性貧血
サラセミ
球状赤血球 先天性球状赤血球
溶血性貧血
楕円赤血球 楕円赤血球
鉄欠乏性貧血
標的赤血球 鎌状赤血球
肝疾患(閉塞性黄疸)
口唇赤血球 アルコール性肝疾患
鎌状赤血球 鎌状赤血球
涙滴赤血球 脊髄繊維症
サラセミ
分裂赤血球 細血管障害性溶血性貧血
(DIC,TTP,溶血性尿毒症症候群)
有棘赤血球 尿毒症、無βリポプロテイン血症、
アルコール性肝疾患

溶血性貧血をきたすことのある主な薬剤
解熱鎮痛消炎剤
 フェナセチン
 メフェナム酸
 インドメタシン
 イブプロフェン
 ナプロキセン
 サリドン、セデスG
血圧降下剤
 メチルドパ
 アセタゾラミド
糖尿病用薬
 アセトヘキサミド
 グリクラジド
 トルブタミド
痛風治療薬
 プロベネシド
抗生物質
 ペニシリン抗生物質
 セフェム系抗生物質
 リファンピシン
化学療法剤
 サルファ剤
 バクタ、バクトシン
 PAS
外皮用薬
 ジアファニルスルホン
精神神経用薬
 フェノチアジン系薬剤
抗パーキンソン薬
 レボドパ
 ネオドパストン、メネシッド
* 薬剤の酸化作用による機序 ヘモグロビン、赤血球膜の変性
* 免疫学的機序
1. 血中の蛋白と結合した薬剤を抗原と認識するために、次回に同じ薬剤が投与されたときに抗原抗体反応が生じ、これが赤血球膜に付着すると補体が働いて、溶血が起こるタイプ
2. 薬剤の投与により赤血球膜に対する自己抗体が産生され、この抗体により溶血が起こるタイプ(メチルドパ)