気管支喘息 17 / 呼吸器疾患 7

抗アレルギー薬

Ⅰ型アレルギー反応に関与する化学伝達物質の遊離ならびに作用を調節する全ての薬剤およびTh2サイトカイン阻害薬

・メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1受容体拮抗薬、トロンボキサンA2合成阻害薬・拮抗薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、Th2(胸線で作られるT細胞はTh1とTh2細胞に分化する)サイトカイン阻害薬

(a)メディエーター遊離抑制薬
Ⅰ型アレルギー反応における肥満細胞からの化学伝達物質の遊離を抑制する薬剤である。軽症または中等症のアトピー型喘息の30〜60%に効果があり、個々の患者での効果判定には4〜6週間以上の投与が必要である。

クロモグリク酸ナトリウム(インタール)
ラニラスト(リザベン)
イブジラスト(ケタス)
レピリナスト(ロメット)
タザノラスト(タザノール)
ペミロラストカリウムアレギサール

●主な作用機序
肥満細胞(マスト細胞)からの化学伝達物質(ヒスタミン、システィニルロイコトリエン、血小板活性化因子など)が遊離するのを抑制する。

 ・予防薬であり、発作抑制などの急性効果は期待できない。
 ・薬剤による適応が異なるので注意が必要である。
 ・クロモグリク酸ナトリウムはアトピー型喘息患者の気道炎症を抑制して、長期管理薬として使用される。

●副作用
発疹、下痢、腹痛、食欲不振、嘔気、心悸亢進、頭痛、眠気などがある。

 ・トラニラスト(リザベン)の出血性膀胱炎、タザノラスト(タザノール)のほてり感がある。


呼吸器疾患 7

1)吸入抗コリン薬
臭化イプラトロピウム(アトロベント)
臭化オキシトロピウム(テルシガン)
臭化チオトロピウム水和物(スピリーバ)

抗コリン薬は肺気腫の患者ではアドレナリンβ2受容体刺激薬以上の気管支拡張作用を示すので、肺気腫を合併した高齢の喘息症例に有効である。

●主な作用機序
副交感神経終末のムスカリン受容体を遮断することにより気管支平滑筋の収縮を抑制する。

●禁忌
・臭化イプラトロピウム:本剤の成分またはアトロピン系薬剤に対して過敏症の既往歴のある患者、緑内障の患者(眼圧を上昇させるおそれがある)、前立腺肥大症の患者(排尿障害を起こすおそれがある)
・臭化オキシトロピウム:緑内障の患者、前立腺肥大症の患者、スコポラミン系薬剤に対する過敏症の既往歴のある患者
・臭化チオトロピウム:緑内障の患者(眼圧を上昇させるおそれがある)、前立腺肥大症による排尿障害のある患者(更に尿を出にくくすることがある)、アトロピンおよびその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

●副作用
重大/アトロベント:アナフィラキシー様症状、上室性頻脈、心房細動
   スピリーバ:心房細動、心不全期外収縮など
   ※テルシガンは重大な副作用はなし。

2)副腎皮質ステロイド
プロピオン酸ベクロメタゾン(アルデシン、キュバール)
プロピオン酸フルチカゾン(フルタイド
ブデソニド(パルミコート)

・吸入後は必ずうがいをさせ、口腔・咽頭症状を軽減し、全身への吸収を少なくさせる。うがいが困難な患者にはうがいではなく、口腔内をすすぐように指導する。
・突然中止すると急激な悪化があり、中止の際には喘息症状を観察しながら徐々に減量する。

●主な作用機序
リン脂質からアラキドン酸を産生するホスホリパーゼA2を阻害する。各種炎症性メディエーターの産生及び遊離を抑制する。

●禁忌
有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者(症状を増悪させるおそれがある)、過敏症

●副作用
重大/アナフィラキシー様症状(フルタイド