気管支喘息 19 / 呼吸器疾患 10

(c)トロンボキサンA2合成酵素阻害薬・拮抗薬
軽症〜中等症のアトピー型ないし混合喘息に対するトロンボキサンA2阻害薬の有効率は40%前後である。有効性の判定には2〜4週間投与して判定する。高齢者や非アトピー型喘息患者に対してもある程度有効であることなどが報告されている。

 トロンボキサンA2合成阻害薬
  塩酸オザクレル(ドメナン、ベガ)
 トロンボキサンA2受容体拮抗薬
  セラトロダスト(ブロニカ
  ラマトロバン(バイナス)

●主な作用機序
トロンボキサンA2阻害薬はトロンボキサンの産生を抑制し、同時にプロスタサイクリン(プロスタグランジンI2)の産生を促進する。トロンボキサンA2受容体拮抗薬はトロンボキサンA2の作用の阻害とプロスタグランジンD2,プロスタグランジンF2αの作用も阻害する。

●副作用
・塩酸オザクレルには痒み、悪心・嘔吐、肝機能検査値異常(AST,ALT上昇)、血清カリウム値の上昇などがある。まれに尿潜血陽性、歯肉出血、プロトロンビン時間の延長がある。
・セラトロダストでは肝機能検査値異常(AST,ALT上昇)、悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢などの消化器異常、眠気、貧血、発疹、頭痛、動悸、倦怠感、好酸球増多、尿潜血陽性などがある。血清ビリルビン値の上昇を伴う重篤な肝機能異常がある。
・両薬剤とも、血小板凝集抑制作用のある薬剤の併用には注意する


呼吸器疾患 10

C 分類と病態
①急性咳嗽
感染性疾患 鼻腔から咽頭までの上気道ウイルス感染によるかぜ症候群の頻度が最も高く、多くの場合、特に治療を行わなくとも自然治療する。その後、咳嗽の持続時間とともに非感染性疾患による遷延性・慢性咳嗽の頻度が増加してくる。

②遷延性咳嗽
3週間以上持続する咳嗽が唯一の症状であり、胸部単純X線検査やスパイクログラフィーなどの一般検査や身体所見では原因を特定できない咳嗽である。以下に述べる慢性咳嗽の原因疾患が発生して8週間に満たない場合も含まれる。

わが国における慢性咳嗽の3大原因疾患は、副鼻腔気管支症候群(湿性咳嗽)、咳喘息(乾性咳嗽)およびアトピー咳嗽(乾性咳嗽)であり、遷延性咳嗽ではこれらにかぜ症候群後遷延性咳嗽(感染後咳嗽と省略、乾性咳嗽)が加わる。さらに頻度は低くなるが、胃食道逆流による咳嗽、ACE阻害薬による咳嗽、心因性・習慣性咳嗽にも注意が必要である。

③慢性咳嗽
(慢性咳嗽は、8週間以上持続)
・頻度の多い原因疾患
 咳喘息
 Ⅰ型アレルギー 気管支平滑筋の収縮がトリガーとなって咳嗽が発症

D 咳嗽の検査法
感染症検査
 普通感冒 マイコプラズマ クラミジア 百日咳 
②アレルギーや生理学的な検査