気管支喘息 20 / 慢性肝炎 1

(d)ロイコトリエン受容体拮抗薬
ロイコトリエン(LT)C4,D4,E4はシスティニルLT(CysLT)と言われ、CysLT受容体にはCysLT1受容体とCysLT2受容体がある。現在のロイコトリエン拮抗薬はCysLT1受容体拮抗薬である。ロイコトリエン受容体拮抗薬は内服早期{1〜3時間)で呼吸機能が改善することが報告されている。喘息長期管理においてロイコトリエン拮抗薬は喘息症状、呼吸機能、頓用の吸入β2受容体刺激薬の吸入回数、気道炎症、気道過敏性、吸入ステロイド薬の使用量の減量などを有意に改善させる。特に、中用量から高用量の吸入ステロイド薬を使用しても喘息が完全にコントロールされない症例に対してロイコトリエン拮抗薬の併用が有効であること、また、ロイコトリエン受容体拮抗薬には吸入ステロイド薬の減量効果もある。有効性の判定には一般的には2〜4週間投与して判断する。

 プランルカスト水和物(オノン)
 ザフィルルカスト(アコレート)
 モンテルカストナトリウム(シングレア、キプレス

(主な作用機序)
 システィニルロイコトリエン受容体(CysLT1受容体)に選択的に結合して、その作用に拮抗する。
(副作用)
・プランルカルト水和物では発疹、掻痒、嘔気・嘔吐、腹痛、AST,ALT上昇、不眠、発熱などがある。
・ザフィルルカストでは頭痛、AST,ALT上昇、嘔気などがあり、重篤な肝機能障害の報告があるので、定期的な検査が必要である。
・モンテルカストナトリウムでは皮疹、掻痒、頭痛、傾眠、めまい、しびれ、下痢、腹痛、口渇、筋肉痛などがある。

(e)Th2サイトカイン産生阻害薬
Th2サイトカイン阻害薬はトシル酸スプラタストのみである。喘息患者の気道粘膜の好酸球浸潤を抑制し、喘息症状を改善することが報告されている。同様に吸入ステロイド薬の減量に有効であることが示されている。

 トシル酸スプラタスト(アイピーディ)

(主な作用機序)
 Th2細胞からのロイコトリエン(IL-4,IL-5)産生を抑制する。IgE抗体産生抑制、好酸球浸潤抑制などにより化学伝達物質遊離抑制も加わり、抗アレルギー作用を示す。
(副作用)
 嘔気・嘔吐、胃部不快感、発疹、肝機能障害、ネフローゼ症候群などがある。


慢性肝炎 1

A <慢性肝炎の原因>
 60% C型肝炎
 20% B型肝炎
 20% 非A〜非E型などのウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、ウィルソン病など
 
  <肝炎の分類>
 ウイルス性肝炎
  A型 食べ物、飲み水からの感染。症状は急性のみで慢性化しない。
  B型 主に母子感染および輸血。急性症状の後、一部慢性化する。
  C型 主に輸血による感染。急性症状の後、一部慢性化する。
  D型 日本にはいない。
  E型 日本では、イノシシ、シカ、ブタなどの生肉を食して感染した例がある。
 アルコール性肝炎
 自己免疫性肝炎
 薬剤性肝炎