気管支喘息 21 / 慢性肝炎 2

発作治療薬(リリーバー)

1)ステロイド
ステロイド薬の経静脈的投与と経口投与の一部が発作治療薬であり、急性喘息発作には経静脈的にステロイド薬を短期に大量投与する場合がある。喘息症状の悪化には中〜高用量(プレドニゾロン0.5mg/kg前後)を1週間位の短期投与することによって、急性増悪を予防し、発作による日常生活の制限を減少させる。


2)アドレナリンβ2受容体刺激薬
吸入のアドレナリンβ2受容体刺激剤は短時間作用性であり、発作治療薬として位置付けられている。エアロゾルネブライザーによる吸入療法は経口薬と同等以上の気管支拡張作用を示し、心血管系の刺激作用、振戦、低カリウム血症などの副作用は少ない。吸入の使用回数が5回/日以上になれば長期管理薬の強化を検討する。頓用回数の増加はコントロールの悪化とみなしてよい。
アレルゲン暴露や運動発作喘息の予防治療には短期性のアドレナリンβ2受容体刺激薬の吸入療法が適している。発作が季節性のみに見られる症例でも、この治療法がよい。
標準的な使用方法としては携帯用の定量噴霧吸入器で1回に2噴霧(フェノテロールは1回に1噴霧)吸入する。巣ペーサーを用いた方が副作用は少なく、安全である。
 
3)エピネフリン皮下注射(ボスミン)

4)テオフィリン製剤
  アミノフィリンの点滴静注やアミノフィリンの内服(頓用)

5)吸入抗コリン薬
吸入抗コリン薬はアドレナリンβ2受容体刺激薬に比較して、気管支拡張作用は弱く、効果発現も遅く、最大効果に達するのに通常1〜2時間を要する。気管支拡張作用の持続時間はアドレナリンβ2受容体刺激薬と同じかやや長く、副作用も少ない。抗コリン薬は気道収縮が存在するときにその有効性が示され、その場合にはアドレナリンβ2受容体刺激薬と相加効果がある。抗コリン薬は肺気腫の患者ではアドレナリンβ2受容体刺激薬以上の気管支拡張作用を示すので、肺気腫を合併した高齢の喘息症状に有効である。

 臭化イプラトロピウム(アトロベント)
 臭化フルトロピウム(フルブロン)
 臭化オキシトロピウム(テルシガン)

   cf.臭化チオトロピウム水和物(スピリーバ) 長時間作用型 1日1回吸入(COPDのみ)

 (主な作用機序) 副交感神経のムスカリン受容体を遮断することにより気管支平滑筋の収縮を抑制する。
 (副作用)口渇、嘔気、嘔吐、腹痛、咽頭痛、咳、苦味、口内乾燥、心拍数増加などがある。
   ※緑内障前立腺肥大症には禁忌である。

6)漢方薬
一般的に喘息発作の急性期には黄麻剤(小青竜湯など)、
慢性期には体質改善を目指して柴胡剤(柴朴湯など)を投与する。

黄麻剤はエフェドリン類を含む黄麻を主薬とした方剤で、気管支拡張作用や静咳作用があり、効果の発現は比較的早い。

柴胡剤は抗炎症作用を有し、長期投与によっても症状の安定化がもたらされる。

漢方薬の効果はすぐには現れないので、3〜4週間に効果の有無をチェックし、効果が実感できるときは長期(6ヵ月から2年)に服用を続ける。効果が実感できないときには、その時点で方剤の見直しを行う。


慢性肝炎 2

肝臓の機能

肝臓は体内で最も大きな臓器で、成人での重さは体重の約1/50を占める。再生能力が高いのが特徴で、全体の半分以上を切り取っても、再び元の大きさに戻ることができる。生命活動の維持には、全体の30%程度が残っていればよいとされている。
さらに、肝臓の一部に障害が起こっても、他の部分で働きを補ったり、障害された肝細胞が再生するため、障害がかなり進まないと症状が現れない。
また、肝臓は栄養素の代謝・貯蔵、アルコールの解毒など、”生体の化学工場”と呼ばれるほど多彩な働きをしている。


肝臓の位置

肝臓は、胸部と腹部を分ける横隔膜のすぐ下の、右寄りの上腹部にある。左葉と右葉とに分かれており、右葉が全体の70%を占めている。肝臓は、胆汁の通り道である「胆管」によって、十二指腸とつながっている。


肝臓の構造

肝臓には約2500億個の肝細胞があり、約50万個の肝細胞から成る「肝小葉」に分かれている。


肝臓の主な働き
1.栄養素を代謝・貯蔵する
2.身体に不要なものを解毒する
3.胆汁をつくる
4.様々なタンパクをつくる
5.体を異物から守る(免疫の働き)
6.ホルモンを代謝する